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宴山亭・燕山亭
夜明けの光は吹き付ける小雨を散らしゆく
竹の欄干は冷ややかに、蘭の野辺はざわめき
ひそやかな若葉が、ふたたび遠き南の岸辺へと通い合う
人影はいまだ絶えてなく、朱塗りの回廊の扉は
ほのかに半ば開かれたまま、寂れてものわびしい
わが心は沈み、ただ疲れ果てる
るりの旗を空に追い求めようとも、空しく遠く
故郷からの錦の便りが届くすべもない
苔むした小道をたどり、古の遊びを偲べば
あの揺れる鞦韆の柱の傍らに、いま誰が佇むのか
化粧箱は閉じられ、鳳凰の枕はひとり寂しく横たわる
かの女もまた、立ち尽くして石のようになっているに違いない
ああ、どうすればあの人を呼び寄せられよう
花霞たちこめる、小堂の奥深くへと
どうか引き止めて、けっして帰さぬように
老いと人生が過ぎ去りゆくまで、ふたり離れぬように
竹檻氣寒,蕙畹聲搖,新綠暗通南浦。
未有人行,才半啓、迴廊朱戶。
無緒。
空望極霓旌,錦書難據。
苔徑追憶曾遊,念誰伴、鞦韆採繩芳柱。
犀奩黛卷,鳳枕雲孤,應也幾番凝佇。
怎得伊來,花霧繞、小堂深處。
留住。
直到老、不教歸去。
竹の欄干の空気は冷たく、蘭の植え込みの音は揺れ、新しい緑がひそかに南浦に通じている。
まだ人の歩く影もなく、やっと半分開いた、回廊の赤い扉。
気力が失われる。
むなしく遠くの虹の旗を望み、錦の書信は頼ることも難しい。
苔の生えた小道をたどり、曾て遊んだ昔を思い、誰が鞦韆の彩られた縄や芳しい柱に付き添うのかと思う。
サイの角の化粧箱の眉墨は巻き上げられ、鳳凰の枕は雲のように孤独であり、かの女もまた何度となく佇んでいることだろう。
どうすればあの人を来させることができるだろうか、花の霧が取り巻く、小堂の奥深くに。
引き止めておこう。
老いるまで、帰らせることなく。