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水龍吟・建康賞心亭為登臨作
長江は果てしない虚空へ流れ去る
遠く望む連山は恨みと愁いを差し出し
夕暮れの中に翡翠の簪や巻き貝の如くそそり立つ
落日の楼頭に立てば ぐれ行く雁の鳴き声のうちに
我は江南の漂泊の旅人にすぎぬ
名剣呉鉤を抜き放ちてその鋭鋒を見つめ
欄干を打ちはたいて手掌は痛むも
この高楼に登る孤高の志を知る者は誰もいない
もう語るな 郷里の鱸の膾が美味だなどとは
西風吹きすさぶ中 季鷹は帰郷して一体どうしたというのか
隠棲して田園を買うなど愚劣であり
劉備の雄大な才気に対して赤面するほかないのだから
ああ徒に過ぎ去る歳月を惜しむ 風雨の憂いのなかで
古木ですらこれほどまでに朽ち果てているではないか
誰を呼んで 麗しき翠袖の香る手もとで
この英雄のとめどなき涙を拭わせることができようか
遙岑遠目,獻愁供恨,玉簪螺髻。
落日樓頭,斷鴻聲裏,江南遊子。
把吳鉤看了,欄干拍遍,無人會、登臨意。
休說鱸魚堪。
盡西風、季鷹歸未。
求田問舍,怕應羞見,劉郎才氣。
可惜流年,憂愁風雨,樹猶如此。
倩何人,喚取盈盈翠袖,英雄淚。
遥かなる岑(峰)を遠くで見つめ、愁いを献じ恨みを供う、玉の簪(かんざし)と螺髪(らほつ)。
落日の楼頭、断れゆく雁の音の裏(うち)、江南の遊子。
呉鉤を手に取りて眺め、欄干を叩き遍くし、誰も会せず、登臨の意。
休めよ、鱸魚が堪えると説くを。
西風の真っ只中、季鷹は帰りしやいなや。
田を求め宅を問う、恐らくは羞づべき、劉郎の才気を見ることには。
惜しむらくは流年、風雨に憂愁し、樹すら斯の如し。
倩(かし)くは誰人にか、呼び取らん盈盈たる翠の袖、英雄の涙。