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定風波・自春來
英語詩訳(意訳)
春の訪れとともに緑はやつれ紅はなやみを深め、
もの憂い心にはすべてのことが空しく思われる。
日の光が花の梢を照らし、鶯が柳の糸の間を縫う頃になっても、
私はまだ香る布団にくるまったまま横たわっている。
肌の温もりは冷め、結った髪の雲も乱れ果てたまま、
一日中ぐったりとして髪を梳かす気力すら湧かない。
どうしようというのか。
恨めしいあの薄情者が旅立ったきり、便りは一通もない。
こうなることがわかっていればよかった。
はじめからあの者の馬の鞍に鍵をかけてでも閉じ込めておけばよかったのだ。
書斎の窓辺で、色鮮やかな紙と象牙の筆を持たせ、
厳しく束縛して詩歌の勉強を教えていれば、
いつも互いに寄り添い、決して遠ざけることもなく、
針仕事を手元にしながら彼の傍らに座り、
ふたりはひとつになって過ごすことができたのに。
そうすれば、若い貴重な年月が、
ただ虚しく過ぎ去ってしまうこともなかっただろうに。
もの憂い心にはすべてのことが空しく思われる。
日の光が花の梢を照らし、鶯が柳の糸の間を縫う頃になっても、
私はまだ香る布団にくるまったまま横たわっている。
肌の温もりは冷め、結った髪の雲も乱れ果てたまま、
一日中ぐったりとして髪を梳かす気力すら湧かない。
どうしようというのか。
恨めしいあの薄情者が旅立ったきり、便りは一通もない。
こうなることがわかっていればよかった。
はじめからあの者の馬の鞍に鍵をかけてでも閉じ込めておけばよかったのだ。
書斎の窓辺で、色鮮やかな紙と象牙の筆を持たせ、
厳しく束縛して詩歌の勉強を教えていれば、
いつも互いに寄り添い、決して遠ざけることもなく、
針仕事を手元にしながら彼の傍らに座り、
ふたりはひとつになって過ごすことができたのに。
そうすれば、若い貴重な年月が、
ただ虚しく過ぎ去ってしまうこともなかっただろうに。
原文・ピンイン
自春來、慘綠愁紅,芳心是事可可。
日上花梢,鶯穿柳帶,猶壓香衾臥。
暖酥消,膩雲。
終日厭厭倦梳裹。
無那。
恨薄情一去,音書無個。
早知恁麼。
悔當初、不把雕鞍鎖。
向雞窗、只與蠻箋象管,拘束教吟課。
鎮相隨,莫拋躲。
針線閒拈伴伊坐。
和我。
免使年少,光陰虛過。
日上花梢,鶯穿柳帶,猶壓香衾臥。
暖酥消,膩雲。
終日厭厭倦梳裹。
無那。
恨薄情一去,音書無個。
早知恁麼。
悔當初、不把雕鞍鎖。
向雞窗、只與蠻箋象管,拘束教吟課。
鎮相隨,莫拋躲。
針線閒拈伴伊坐。
和我。
免使年少,光陰虛過。
文献直訳
春来てより、緑は惨めみね、紅は愁う、芳心は事ごとに可々(どうでもよい)。日、花の梢に上り、鴬は柳の帯を穿つも、なお香衾(こうきん)を圧して臥す。暖酥(だんそ)消え、膩雲(じうん)乱る。終日厭厭として梳櫛(そしつ)を倦む。奈何(いかん)せん。薄情のひとひとたび去りて、音書のことごとく無きを恨む。早く此の如くなるを知らまし。当初を悔ゆ、のりの鞍を鎖さざりしを。鶏窓に向かい、ただ蛮箋と象管とを以って、拘束して吟課を教えまし。鎮(とこしな)えに相従い、抛(ほう)いて避けざらしめまし。針線(しんせん)ひそかに拈りて伊に伴い座す。我と和す。年少の光陰、虚しく過ぐるを免れしめまし。