SINOPOEMS
Language
🌐 Language
ブックマーク
To bookmark this poem:
Press Ctrl + D (Windows) or ⌘ + D (Mac).

賀新郎・睡起啼鶯語

まどろみから覚めれば、ただ一羽の鴬が鳴いている。
窓の格子に夕暮れが迫り、青苔の庭には無数の花びらが散り敷く。
見送るひともなく吹き散らされる最後の花よ、
あとに残されたのは、ただもの憂げに揺れる柳の枝ばかり。
おだやかな温気が、ふたたび初夏の訪れを告げる。
月影をかたどった宝扇をふたたび手にすれば、
埃は積もるも、なお仙女の物語はそこにある。
過ぎ去りし日の恨みが、いかに急ぎ足で胸を突くことか。
江南への夢は断たれ、大河の洲は果てしない。
怒濤は天を衝き、豊かな水面は緑の波をみなぎらせ、
あたり一面は煙るような雨に包まれる。
高楼の前には言い知れぬ滄海の波音が響き、
いったい誰が水草の花を摘み、この思いを託してくれよう。
ただいたずらに、かすむ蘭舟の漂うさまを眺めるばかり。
万里のかなた、雲帆はいったいついに辿り着くのか。
ゆく一羽の雁を見送り、幾重の山々が遮る彼方を凝視する。
ああ、誰が私のために、あの「金縷の歌」を唄ってくれるのだろう。
睡起啼鶯語。
掩青苔、房櫳向晚,亂紅無數。
吹盡殘花無人見,惟有垂楊自舞。
漸暖靄、初回輕暑。
寶扇重尋明月影,暗塵侵、尚有乘鸞女。
驚舊恨,遽如許。
江南夢斷橫江渚。
浪黏天、葡萄漲綠,半空煙雨。
無限樓前滄波意,誰採蘋花寄取。
但悵望、蘭舟容與。
萬里雲帆何時到,送孤鴻、目斷千山阻。
誰爲我,唱金縷。
shuì qǐ tí yīng yǔ.
yǎn qīng tái, fáng lóng xiàng wǎn, luàn hóng wú shù.
chuī jìn cán huā wú rén jiàn, wéi yǒu chuí yáng zì wǔ.
jiàn nuǎn ǎi, chū huí qīng shǔ.
bǎo shàn chóng xún míng yuè yǐng, àn chén qīn, shàng yǒu chéng luán nǚ.
jīng jiù hèn, jù rú xǔ.
jiāng nán mèng duàn héng jiāng zhǔ.
làng nián tiān, pú táo zhǎng lǜ, bàn kōng yān yǔ.
wú xiàn lóu qián cāng bō yì, shuí cǎi píng huā jì qǔ.
dàn chàng wàng, lán zhōu róng yǔ.
wàn lǐ yún fān hé shí dào, sòng gū hóng, mù duàn qiān shān zǔ.
shuí wèi wǒ, chàng jīn lǚ.
眠り覚めて啼く鴬の語る。青苔を掩い、房櫳は晩に向かい、乱紅数多し。残花を吹き尽くして人の見る無く、唯た垂楊の自ら舞う有るのみ。漸く暖靄、初めて軽暑を回す。宝扇重ねて明月影を尋ね、暗塵侵し、尚だ鸞に乗りたる女有る。旧恨を驚き、遽かに此の如し。江南の夢断つ横江の渚。浪は天に粘り、葡萄は緑を漲らせ、半空の煙雨。無限の楼前滄波の意、誰か蘋花を採りて寄せて取らん。但だ悵望す、蘭舟の容与するを。万里の雲帆何時にか到らん、孤鴻を送り、目を断つ千山の阻。誰か我が為に、金縷を唱えん。

I. 形式詩的構造と韻律

この詞は、著名な宋詞の詞調「賀新郎」に依って詠まれたものである。詞調の特徴として極めて長大な構成を持ち、短い破調の感嘆と、内面の情動の揺らぎを映し出す流麗な長句とが複雑に入り交じる。韻律構造は平声と仄声を巧妙に転換させ、うねるような波や溜息の如き音響的リズムを生み出す。建築的な構成としては、内密な私的空間から広大で荒涼とした水辺の景観へと、間奏の如きスタンザの転換において急激な対比がなされている。

II. 歴史的年表と実存的衝動

北宋から南宋への激動の過渡期に書かれたこの作品において、詩人・葉夢得は、深刻な軍事・政治的危機に直面した帝国を生きる士大夫層特有の、痛切な流離の感覚と実存的な憂愁をとらえている。地域の分断、北方首都の喪失、そして頻繁な官職の左遷という時代を生きる中で、詩人は政治的失脚と個人的孤立という深い感覚を江南の春の景観へと投影し、自然の形象を歴史的な哀惜の鋭いレジスターへと昇華させている。

III. 句別解釈と典拠の解読

この詞は、まどろむ私的な静けさから、遠い悲しみの圧倒的なパノラマへと向かう心理的軌跡を描いている。

  • 第1-2句(首聯): 第1句「眠り覚めて啼く鴬の語る」は衝撃的な感覚的覚醒を確立し、続く第2句「青苔を掩い、房櫳は晩に向かい」によって停滞した隠遁と放置された美の雰囲気を定着させる。
  • 第1の対句的転換: 第3句「残花を吹き尽くして人の見る無く」は人の目に触れない隠れた衰退のモティーフを導入し、第4句「唯た垂楊の自ら舞う有るのみ」における、人間の悲しみなど意に介さない無心な自然の生命力と鮮烈な対比をなす。
  • 第2の対句的転換および高潮: 第5句「漸く暖靄、初めて軽暑を回す」が季節の移り変わりを示し、第6句「宝扇重ねて明月影を尋ね」において、置き去りにされた寵愛と色褪せた宮廷の栄華を示す漢代の宮廷幽閉の定型句を展開する。
  • 結句(尾聯): 結びの句群(「万里の雲帆何時にか到らん」)は地平を広大な地理的障壁へと拡大し、孤独な亡命における共感への切実かつ痛切な問いかけをもって結ばれる。

IV. 美的統合と詩的余韻

詩人は、儒教的な公的責務への傾倒と、自然の広大さへの道教的帰依という伝統的トポスを融合させている。激しい哀惜の情は、無関心な自然景観の客観的な観照を通じて和らげられ、普遍的な美的超越へと昇華されている。個人の記憶と、時間や歴史の容赦ない大河との間の痛切な断絶を経験したすべての読者の心に、時代を超えて響き渡る作品である。

リンクをクリップボードにコピーしました!