ブックマーク
To bookmark this poem:
Press Ctrl + D (Windows) or ⌘ + D (Mac).
Press Ctrl + D (Windows) or ⌘ + D (Mac).
蜀道難
英語詩訳(意訳)
あぁ、なんと険しく、なんと高いことか!
蜀への道程は、青天を登るよりもなお難しい!
蚕叢と魚鳧がいにしえの霧の中に国を開き、
四万八千年の間、人の往来する道すらなかった。
西方に太白山がそびえて鳥の飛ぶ道があり、
峨眉山の頂は天の高さすっきりと接している。
地が崩れ山が砕けて勇士たちは命を落とし、
その後にようやく天にかかる桟道が掛け渡された。
上には太陽を駆る六頭の龍の軌道があり、
下には逆巻く激流がうねり狂って流れる。
翼のある黄鶴すら飛び越えることができず、
身軽な猿たちも這い上がることに途方に暮れる。
青泥嶺のなんと険しくうねりくねっていることか、
百歩ごとに九度も折れ曲がり巌の峰を巡る。
星に手が届きそうな高みで息をひそめ、
胸を叩いては、ただ深く長い溜め息をつく。
旅人よ、西への遊歴からいつ帰るのかと問えば、
険しい絶壁の道はとても登れたものではない。
ただ悲しげな鳥が枯れ木にとまって鳴き、
雌雄が呼び合いながら森のなかを巡っている。
夜の月のもとで郭公がもの悲しく啼き声をあげ、
物寂しい山々に響いて胸を締め付ける。
蜀への道程は、青天を登るよりもなお難しい!
これを聞けば、誰もが若き日の顔色を失う。
峰は天までわずか一尺にも満たないほど連なり、
枯れた松が逆さに絶壁に寄りかかって垂れ下がる。
激しい急流と滝とが轟音を響かせ激しくぶつかり、
岩を砕き石を転がして万の谷に雷鳴がとどろく。
かくも恐ろしい危険が待ち受けるというのに、
旅人よ、お前はなぜわざわざやって来たのか?
剣閣の要塞は雲をついてそびえ立ち、
一人の男が関所を守れば、万の軍勢も通れない。
もしも守る者が身内でなければ、
たちまち狼や豺の獣へと心を豹変させるだろう。
朝には猛虎を避け、夕には大蛇を恐れ、
牙を剥き血を吸う獣が、麻のごとく人を殺す。
錦城の都は楽しいと人は言うけれど、
故郷に早く帰ることに勝るものはない。
蜀への道程は、青天を登るよりもなお難しい、
私は身を斜めにして西を望み、ただ深く長い溜め息をつく。
蜀への道程は、青天を登るよりもなお難しい!
蚕叢と魚鳧がいにしえの霧の中に国を開き、
四万八千年の間、人の往来する道すらなかった。
西方に太白山がそびえて鳥の飛ぶ道があり、
峨眉山の頂は天の高さすっきりと接している。
地が崩れ山が砕けて勇士たちは命を落とし、
その後にようやく天にかかる桟道が掛け渡された。
上には太陽を駆る六頭の龍の軌道があり、
下には逆巻く激流がうねり狂って流れる。
翼のある黄鶴すら飛び越えることができず、
身軽な猿たちも這い上がることに途方に暮れる。
青泥嶺のなんと険しくうねりくねっていることか、
百歩ごとに九度も折れ曲がり巌の峰を巡る。
星に手が届きそうな高みで息をひそめ、
胸を叩いては、ただ深く長い溜め息をつく。
旅人よ、西への遊歴からいつ帰るのかと問えば、
険しい絶壁の道はとても登れたものではない。
ただ悲しげな鳥が枯れ木にとまって鳴き、
雌雄が呼び合いながら森のなかを巡っている。
夜の月のもとで郭公がもの悲しく啼き声をあげ、
物寂しい山々に響いて胸を締め付ける。
蜀への道程は、青天を登るよりもなお難しい!
これを聞けば、誰もが若き日の顔色を失う。
峰は天までわずか一尺にも満たないほど連なり、
枯れた松が逆さに絶壁に寄りかかって垂れ下がる。
激しい急流と滝とが轟音を響かせ激しくぶつかり、
岩を砕き石を転がして万の谷に雷鳴がとどろく。
かくも恐ろしい危険が待ち受けるというのに、
旅人よ、お前はなぜわざわざやって来たのか?
剣閣の要塞は雲をついてそびえ立ち、
一人の男が関所を守れば、万の軍勢も通れない。
もしも守る者が身内でなければ、
たちまち狼や豺の獣へと心を豹変させるだろう。
朝には猛虎を避け、夕には大蛇を恐れ、
牙を剥き血を吸う獣が、麻のごとく人を殺す。
錦城の都は楽しいと人は言うけれど、
故郷に早く帰ることに勝るものはない。
蜀への道程は、青天を登るよりもなお難しい、
私は身を斜めにして西を望み、ただ深く長い溜め息をつく。
原文・ピンイン
噫籲嚱!危乎高哉!蜀道之難難於上青天!蠶叢及魚鳧,開國何茫然。
爾來四萬八千歲,乃與秦塞通人煙。
西當太白有鳥道,可以橫絕峨眉巔。
地崩山摧壯士死,然後天梯石棧方鉤連。
上有六龍迴日之高標,下有衝波逆折之迴川。
黃鶴之飛尚不得,猨猱欲度愁攀緣。
青泥何盤盤,百步九折縈巖巒。
捫參歷井仰脅息,以手撫膺坐長歎。
問君西遊何時還?畏途巉巖不可攀。
但見悲鳥號枯木,雄飛呼雌繞林間。
又聞子規啼夜月,愁空山,蜀道之難難於上青天!使人聽此彫朱顏。
連峯去天不盈尺,枯松倒掛倚絕壁。
飛湍瀑流相喧豗,砅崖轉石萬壑雷。
其嶮也若此,嗟爾遠道之人胡爲乎來哉?劒閣崢嶸而崔嵬,一夫當關,萬夫莫開。
所守或匪親,化爲狼與豺。
朝避猛虎,夕避長蛇。
磨牙吮血,殺人如麻。
錦城雖雲樂,不如早還家。
蜀道之難難於上青天,側身西望長諮嗟。
爾來四萬八千歲,乃與秦塞通人煙。
西當太白有鳥道,可以橫絕峨眉巔。
地崩山摧壯士死,然後天梯石棧方鉤連。
上有六龍迴日之高標,下有衝波逆折之迴川。
黃鶴之飛尚不得,猨猱欲度愁攀緣。
青泥何盤盤,百步九折縈巖巒。
捫參歷井仰脅息,以手撫膺坐長歎。
問君西遊何時還?畏途巉巖不可攀。
但見悲鳥號枯木,雄飛呼雌繞林間。
又聞子規啼夜月,愁空山,蜀道之難難於上青天!使人聽此彫朱顏。
連峯去天不盈尺,枯松倒掛倚絕壁。
飛湍瀑流相喧豗,砅崖轉石萬壑雷。
其嶮也若此,嗟爾遠道之人胡爲乎來哉?劒閣崢嶸而崔嵬,一夫當關,萬夫莫開。
所守或匪親,化爲狼與豺。
朝避猛虎,夕避長蛇。
磨牙吮血,殺人如麻。
錦城雖雲樂,不如早還家。
蜀道之難難於上青天,側身西望長諮嗟。
文献直訳
ああ!危ういかな高いかな!蜀の道の難さは青天に昇るよりも難し!蚕叢及び魚鳧、国を開きしこと何ぞ茫然たれ。爾来四万八千歳、乃ち秦の塞と人煙に通ず。西のかた太白に当りて鳥の道あり、以て横たわりて峨眉の巓を絶つべし。地崩れ山摧けて壮士死し、然る後に天梯の石桟が方いに鉤連す。上に六龍日をめぐらすの高標あり、下に衝波逆折するの回川あり。黄鶴の飛ぶすら尚だ得ず、猨猱度らんと欲して攀援を愁う。青泥何ぞ盤盤たる、百歩九折して巌巒をめぐる。参を捫れ井を歴りて仰ぎて脅息し、手以て膺を撫でて坐して長歎す。君に問う西遊何時か還らんとは?畏途の巉巖は攀じべからず。但だ見る悲鳥の枯木に号き、雄は飛び雌を呼びて林間にめぐるを。又聞く子規の夜月に啼くを、空山に愁う、蜀道の難さは青天に昇るよりも難し!人をして此を聞きて朱顔を彫せしむ。連峯天を去ること不盈尺、枯松倒れて懸りて絶壁に依る。飛湍の瀑流相喧豗し、石を転じ万壑に雷す。其の嶮しきこと此のごとし、嗟爾の遠道の人何為れぞ来たるや?剣閣崢嶸として崔嵬たり、一夫関を当れば、万夫開き得ず。守る所若し親ならずんば、化して狼と豺とならん。朝には猛虎を避け、夕には長蛇を避く。牙を磨き血を吮い、人を殺すこと麻の如し。錦城は雲るに楽しと雖も、早く家に帰るに如かず。蜀道の難さは青天に昇るよりも難し、身を側だてて西を望み長らく諮嗟す。